オナ禁初日にして自宅待機を余儀なくされた漢の物語

性欲。それは食欲、睡眠欲と並ぶ人間の三大欲求の一つである。人間はこれらの欲求を満たして日々生活しているが、一部にはあえて欲求を断つことで人間としての魅力を高めようとするものもいる。特に性欲を断つことは古来より多くの人間が挑戦しており、多くの人間が辛酸を嘗めてきた。さすがは三大欲求の一角。性欲を断つことはそう簡単ではない。しかしここに今、そのペニスのように固い意志で性欲を断つと決意したものがここに筆を執っている。まさに今、伝説が幕を開け始めている。あなたたちは歴史を目の当たりにしているのだ。

 

漢が性欲を断ち始める理由は様々であるが、そのうちの一つに世間でまことしやかにささやかれるある噂を耳にして性欲を断つことがある。その噂とは、オナニーを禁ずることで己がペニスが増大するという噂である。結論から言えば、この噂に科学的根拠はない。しかし、ペニスに科学は通用しない。通用しないというより、無用である。ペニスは漢の象徴であり、日本国と日本国民統合との象徴である。そこに科学は必要ない。漢は自分の信じる方法で、自分にとって最もなんか、なんていうかよさそうな方法でペニスを大きくしようと日々研鑽を積んでいる。

 

さて、私のおチンポは短小である。そこに酌量の余地はない。まともな性教育を受けず育った私は、高校生になるまでいわゆる床オナなるものをしており、ペニスの成長に大きなビハインドを負った。ただ、他人のペニスを見る機会に恵まれなかったこともあり、自分の誇るイチモツのそのふがいなさに気づくのはもう少し時代が下ってからとなる。そしてまさに今、私は猛烈に後悔している。嗚呼、ペニス。なぜ私のペニスはこんなにもお粗末なのですか。私はこの先、こいつと共に生涯を遂げなければならないのですか。こいつは一生このサイズのままなのですか。藁にもすがる思いでWebブラウザの検索ボックスに「ちんこ 大きくする 方法」と打ち込んだ私は目を見張る情報を手にした。そう、性欲を断つこと、より正確に言えばオナ禁をすることでペニスを増大させることができるという情報を発見したのだ。オナ禁。誰もが一度は聞いたことがあるだろうその単語は私にとって全く無縁だった。生まれてこの方、私の辞書に「オナ禁」ということばはなかった。一日一回は自慰行為をしていたし、受験期なんかは一人の夜を楽しみに勉強にしこしこ取り組んでいたといっても過言ではない。そんな私でもペニス増大の魅力には勝てず、私は悪魔と契約することを決意した。

 

不幸かな、オナ禁初日私はコロナの濃厚接触者となった。圧倒的挫折。圧倒的出オチ。幸いコロナの症状はなかったが、ただ自宅で漫然と過ごすのは暇で仕方なかった。漢は暇だと自慰行為に走る。特にムラムラしているとか、性欲がたまっているとかではなくても惰性でムスコに手が伸びてしまう、そんな悲しきモンスターが人間の雄という動物なのである。オナ禁をしていない通常時でさえオナニーしてしまうのだから、いわんやオナ禁時をや。現在オナ禁2日目であるが今後どのような展開が待ち受けているのか見ものである。歴史はまだ幕を開けたばかり。性欲を断ち切ると決意した一匹の雄が、大賢者になっていく様を見届けていきたいと思う。

 

次回、射精と成長。乞うご期待。